nao-milkの経験ブログ

25年間の半導体エンジニア経験で知り得た内容を記載したブログです。

経験ブログ はじめに

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半導体の設計の仕事ってどんなイメージですか?

 

図面を書く、頭の良い人がヤル仕事。。。と思うかも知れませんが、、、

昔は図面を書いて設計していましたが、今ではHDLという記述で設計します。

また、

頭がよくてと思うかもしれませんが、計算ができるとかの頭の良し悪しではなく、

基本知識から知恵を出すことができるかだと思います。

私は、高校普通科卒業で25年間できました。

 

先に出た「HDL」って???

単にハードウェア用の記述言語です。ソフトウェア言語のC言語C++C#などと同じです。

ただ、ソフトウェア言語との違いは、並列処理を意図した記述です。

ハードウェア言語は、色々な処理を同時行うことができます。

例えば、下のような行列式があり、X及びYの答えを求める場合、

 ソフトウェアでは、6回の処理で計算しますが、

 ハードウェアでは、2回の処理でX及びYの答えを算出します。

 尚、四則計算での計算回数は同じです。

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本題の「半導体の設計の仕事」ですが、

ほとんどが、設計仕様書作りです。

設計仕様書は、Wordで作り、

機能や設計説明、ブロック図、タイミング図などを記載したものとなり、

この段階で頭の中にある設計構想を具体化します。

経験からこの設計書をおろそかにすると、後で検討不足などで修正では無く、

構想段階からやり直しとなり、出来上がるまでに時間がかかります。

※ASICの場合、作ってしまったら修正するにもお金がかかる為、特にしっかりする必要があります。

 

さて私の場合になりますが、

仕様書作りで、ある程度の構想がまとまり、最初に手掛けるのが、

タイミング図作りです。

 文章から始める人、ブロック分けから始める人がいますが、

 私は、タイミング図からです。

 複雑なものになるほど、タイミング図を記載してタイミング検討します。

 このタイミング検討で検討漏れがあると、あとで時間がかかる為です。

 

設計仕様書さえ、ちゃんとできていれば、

あとの工程のHDL作成やRTLシミュレーションによるデバッグなどがスムーズに進むと思います。

 

記述がわかってくると、HDLを作成し、シミュレーションして動きを見たいという先走った気持ちになりますが、

急がば回れ」という言葉があるように早道したいなら、最初をしっかり押さえるべきと私は考えます。

尚、私の設計工程の比重のかけ方は、だいたい

 60%:設計仕様書

 10%:HDLコーディング

 25%:RTLシミュレーションによるデバッグと検証

 5%:論理合成(タイミング制約)

です。